赤ちゃんの口の中に虫歯菌はいない!?それなのに虫歯になる3つの理由
産まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)はいません。
虫歯菌は勝手にいつの間にか現れるということはなく、きっかけがあり、口の中に居すわるようになります。
最初は虫歯菌がいない赤ちゃんの口の中に虫歯菌が棲みつき、虫歯を引き起こすこととなるきっかけは何なのでしょうか?
赤ちゃんの口の中に虫歯菌が棲みつく3つのきっかけ
初めは赤ちゃんの口の中に虫歯菌はいません。
ある日突然湧き出てくるわけでもないので、虫歯菌が赤ちゃんの口の中に居つくきっかけが当然あります。
その中でも主な原因を3つご紹介します。
赤ちゃんの口へのキス
ママもパパも我が子の可愛さあまりに、「チュー」としたくなると思います。
ですが、大人の口の中にはほぼ間違いなく虫歯菌が存在します。
口同士のチューによって大人の口内にいる虫歯菌が赤ちゃんの口内に移ってしまうのです。
そのため、多くの歯科医のホームページでも、赤ちゃんの口へのチューは控えましょうと紹介されています。
可愛い我が子にキスしたいけど、それによって虫歯の原因を作ってしまうのであれば…。
と我慢されるママやパパも増えてきていますが、ママやパパが気を付けていてもいつの間にか虫歯菌が棲みついていることもあります。
それはなぜかというと、ママやパパ以外にも我が子にチューをする可能性はゼロではないからです。
おばあちゃんやおじいちゃんもそうですし、知り合いや他の親族などが我が子に会いに来た際にチューする可能性もありますね。
チューをしないという単純な決め事でも100%防ぐことは難しいのです。
ですが、心を鬼にして、自分たちだけでなく、祖父母、親戚、友達など我が子と関わる全ての方に絶対キスしないで!とキスを防いだとしても、虫歯菌が赤ちゃんの口内にうつることがあります。
それが次の理由です。
お箸やスプーンなどの共有
キスをしていなくても、ママやパパが食事中に、使っているお箸やスプーンなどで我が子に食べさせたりすると虫歯菌が移ることがあります。
そりゃ一度口の中に入れた箸やスプーンには虫歯菌が付着している可能性が高いわけですから、それを我が子の口に入れるとうつる可能性があるわけです。
口に入れるものの共有を避けることも、ご両親だけでなく、祖父母など色々と徹底させなければ難しいでしょう。
キスも共有の箸などで食べさすことも禁止し、周りの人にも徹底させれば、もう安全。
かと思いきや、残念ながらそうでもないのです。
それが次の理由です。
会話中に飛び散る唾やくしゃみ
普段何気なく会話をしている際にも多少の唾が飛んだりしています。
赤ちゃんの頃は上から下を見下ろしながら話す機会も多いでしょうから、話しかけている際に唾液が飛び散っている可能性があります。
もちろん唾液には虫歯菌が含まれている可能性が高いわけで、赤ちゃんに虫歯菌が移る可能性があります。
くしゃみなども唾が飛び散るので、そういった何気ない普段意識しずらいことでも知らず知らずに虫歯菌を赤ちゃんに移すきっかけになっていたりします。
そのため、100%赤ちゃんの口内に虫歯菌が移らないようにするというのはまず不可能だと思っておいた方が良いです。
ですが、もちろん、口内の虫歯菌の数によっても虫歯のできやすさなどに影響を与えるため、一度虫歯菌が棲みつけば食べカスなどを餌にし、増殖していったりしますが、なるべく他人からうつるということは避けた方が良いに越したことはありませんので、対策はできる範囲で行うべきです。
要するに、過剰に絶対防ぎきろうと思っても難しいので、無理のない範囲内で予防できることは予防していくというスタンスがおすすめです。
虫歯ができるメカニズム
虫歯菌が虫歯の原因菌であるということはほとんどの方がなんとなく理解していると思いますが、虫歯がどのようにしてできるのか?ということについては把握していない方も多いのではないでしょうか?
そこで、虫歯ができるメカニズムについてご紹介したいと思います。
なぜなら、虫歯ができるサイクルを断つように対策を行っていくのが虫歯予防につながるからです。
まず、虫歯というと、歯が溶けている状態を思い浮かべると思います。
虫歯菌が直接歯を溶かしていっていると思っている方も多いと思いますが、
実際には虫歯菌が歯を溶かしているわけではありません。
虫歯を語るには次の単語が重要となります。
「砂糖」「虫歯菌」「歯垢(プラーク)」「酸」です。
虫歯のメカニズムというのは、
食品を食べた際に含まれる砂糖を虫歯菌が餌として酸を作りだします。
歯はpHが5.5以下になると溶け出します。
pHというのは酸性・中性・アルカリ性の度合いを表し、数値が小さいほど酸性、数値が大きいほどアルカリ性、真ん中のpH7.0が中性となります。
pH5.5というのは弱酸性くらいの数値ですが、これよりも酸性度が強くなると歯がどんどん溶けていきます。
虫歯菌は砂糖をエサに酸を作りだし、作られた酸は口内の酸性度を強めていくため、pHが下がっていき、5.5以下で歯の齲蝕(うしょく)が始まります。
これが虫歯のメカニズムなのですが、歯の表面などに白や黄色がかったネバネバした塊が付着していることがあります。この塊を歯垢やプラークと呼びますが、よく食べかすだと思われていますが、実際は細菌の塊です。もちろん虫歯菌も含まれています。
そして、歯垢を放置しているとだんだん固くなり、歯石となります。
歯石となると歯みがきくらいではなかなか取り除くことが難しく、歯石の内側には最近がウヨウヨいるため、虫歯だけでなく、歯周病などの原因になります。
口内トラブルというのは虫歯だけでなく、歯周病もありますので、どちらもしっかりとケアしていきたいですね。
せっかくの機会ですので、歯周病についてもご紹介しておきます。
歯周病のメカニズム
歯周病も虫歯と同様予防すべき口内トラブルです。
歯周病が悪化し、重症化すると歯槽膿漏となります。
歯周病が起こるメカニズムとしては、
歯と歯肉の間の歯周ポケットといわれる溝部分に細菌が溜まり、細菌によって歯肉に炎症が起こり、歯肉炎や歯周炎と悪化していきます。
歯肉炎と歯周炎どう違うの?と思いますが、歯肉炎は歯茎の炎症、歯周炎は歯茎の炎症と歯の付け根部分の溶け出した状態を指すようです。
歯肉の炎症というと、赤く腫れあがるだけでなく、歯みがきの際に出血し、ひどくなると膿まで出てくるようになります。
歯周病の原因菌と呼ばれる細菌は1種類ではありません。
代表的な歯周病菌はPorphylomonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)です。
歯肉の炎症だけでなく、毒素を出し、骨を溶かし、さらには悪臭まで放つ細菌です。
他にもTannerella forsythensis(タネレラ・フォーサイシア)やTreponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)の3種類の菌を合わせてレッドコンプレックスと呼び、重度な歯周病に関わる細菌と位置づけられています。
もちろん、歯周病菌は上記の3種類だけでなく、もっと多くの種類が存在しています。
ちなみに本来の赤ちゃんの口内には歯周病菌も存在しないとされており、虫歯菌と同じ様な理由で細菌が赤ちゃんの口内に移ると考えられています。
虫歯菌と歯周病菌が異なるのは、虫歯菌が砂糖をエサとするのに対し、歯周病菌はたんぱく質をエサとする点です。
虫歯菌は飴などの砂糖が多く使われている食品に注意が必要なのに対し、歯周病菌はたんぱく質を含むより多くの食品の食べカス、磨き残しに注意しなければなりません。
虫歯菌や歯周病菌はいくら防ごうと思っても赤ちゃんに移るのを完全に阻止することは困難です。
であれば、阻止に執着しすぎるのではなく、移ってしまった後の対策を考えておくことも大切です。
細菌を増やさない、細菌のエサを残さない、pHコントロールを行うなど、口内トラブル予防に役立つケアを行っていくことが必要です。