赤ちゃんの寝る前の授乳後に歯磨きは必要?
赤ちゃんの寝付かせのために、ミルクや母乳を与えてお腹を満足させる、というのは定番の手段です。
授乳の間、優しく抱っこされることもあって、赤ちゃんはぬくもりに包まれて安心して眠りにつくのですが、そこで問題になるのは口に入るミルクや母乳の中に含まれている糖分です。
その糖質は栄養素としては乳児にとって必要にして十分な成分ではありますが、虫歯の原因になってしまう、という心配がどうしても拭えません。
そのため、就寝前の授乳と歯磨きの必要性についてみてきます。
授乳も虫歯の原因になる?
まだ歯の生え揃っていない乳児に虫歯?という疑問もあるかと思いますが、その原因の一つには歯垢(しこう)と呼ばれる物質があり、母乳やミルクも歯の表面や間にたまって残っていると、その歯垢になってしまう可能性があるのです。
ただ、寝る前の授乳の直前に大人が歯磨きをしっかり施すことで一日の間に蓄積した汚れや歯垢を丁寧に落とし、仕上げに白湯などをのませることでその殆どは洗い流されますので、寝る前の授乳で付着するミルクや母乳などの影響は少ないものと考えられています。
また、虫歯そのものの原因はミュータンス菌(いわゆる虫歯菌)と呼ばれるものであり、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には存在しないものなのです。
それが食事の時の箸やスプーン、食器を媒介にしたり、キスやほおずりといったスキンシップを通して、親や祖父母など、身近な大人の口、唾液などから移ってしまうということなのです。
よって、寝る前の授乳の糖質を気にするよりも、そういった日常での接触の仕方に注意を払った方が虫歯など口腔内の健康管理としては効果的といえるかもしれません。
また、乳児期はまだ乳歯も生えそろっていない時期ではありますが、その時期にはもうすでに永久歯のもとになる部分は歯茎の内側で形成が始まっているのです。
その時期に、口の中に長時間、糖分を含むミルクや母乳、スポーツドリンクなどの糖質を多量に含むものがあり続けるのは、歯の表面のエナメル質の形成に影響を及ぼすともいわれています。
昼間であっても、授乳や水分・ミネラルの補給は良いことですが、だらだらと長時間与え続けないこと、飲み終わったら口の中をすすぐために白湯を飲ませたり、軽い歯磨き(歯固めのように握らせて口に入れて訓練する練習用の歯ブラシなどもあり、離乳食が始まるころから使用を始めても良いでしょう)をして、ケアする習慣をつけていくことがとても大切なのです。
そうした小さいころからのケアの積み重ねをしていくことで、断乳が終わった頃には、きちんとした就寝前の歯磨きが身につき、赤ちゃん自身も嫌がることなく受け入れるようにもなるでしょう。
楽しく歯を磨くということが大事
寝る前の授乳に限らず、ミルクや母乳は心の栄養という意味合いも大きいですが、離乳食への移行と断乳というプロセスがいずれやってくるのです。
その時には歯磨きの楽しさや大切さを教え、予防歯科の検診なども定期的に受診して、永久歯に生えかわるまでの乳歯のコンディションを守り、永久歯が生えたら、例えば奥歯の溝に樹脂をいれて歯垢が溜まることを防ぐように処置するシーラントなどを施して大切に守っていきましょう。
そんなケアの第一歩が乳児期からの歯磨きではありますが、前述のとおり、寝る前の授乳に関してはそれほど神経質になることはありません。
乳児期には親御さんも睡眠時間が不規則になったりしてイライラしがちだったりしますが、その時間には心穏やかに寝付かせして、一日にあったことを振り返って、腕の中の赤ちゃんに「楽しかったね、明日もまた頑張ろうね」と語り掛けるくらいのゆとりをもって過ごしましょう。
そんなスタンスでいることが、ここから先の長い歯のケア、健康管理の継続に繋がっていくのではないでしょうか。